平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。この度、皆様のご支援ご助力のもと、特定非営利活動法人くるまいすとして認証を受けスタートしました。
皆様も市役所や図書館、体育館などを利用された際に、そのエントランスに来所者が自由に使えるタイプの車いすが設置してある事を目にされる事があるかと存じます。あるとき、整備士としての興味でその車いすを手に取ると、タイヤの空気が抜けており、車輪を回転させるとブレーキから異音がすることに気付き、この時私は2つの疑問を抱きました。車いすの整備は誰がやっているのだろうか、私の整備資格でこれを修理しても良いものなのだろうか、という疑問です。
1つ目の疑問は担当者に確認するとすぐにわかりました。特別に誰もやっていないし、整備する必要があった事すらわからなかった、というご返答を頂きました。もう一つの疑問は家に帰ってネットで検索した所、一般社団法人日本福祉用具評価センター(現JASPEC)が主催している、車いす安全整備士資格が国内で唯一存在する車いすの整備資格である事がわかりました。
そこで私はすぐに受験を申し込み、神戸まで飛んで資格を取得しました。福祉用具である車いすは「身体の不自由な方」の「足」であるという事、いわゆる乗り物とは設計思想が根本から違う事を理解し、当資格は非常に有効であるという事を身をもって理解できました。講師の方々、他の受験者の方々との交流もあり、各々が当資格を用いて各分野で仕事をされている事を聞き、非常に参考になりました。
早速、資格をもとに地元社会福祉協議会をはじめ、自治体などの車いすをボランティアで整備して好評を得ましたが、一方では個人には任せられないという声、整備など必要ないという声も頂き、車いすにさわる事、担当者様と面会する事自体できないという事もありました。ならば、個人ではなく特定非営利活動法人として、整備実績を上げて法人として必要性を説得すれば少しでも不整備車いすを減らせるのではないか、という事を思い立ち当法人の設立に踏み込みました。
当法人の名称「くるまいす」ですが、これにも強い思い入れがあります。世の中には色々な団体がありますが、名前から活動内容や実態がわからないような団体も多数あります。「くるまいす」という名称であれば、一目で車いすの事で活動している団体なのだという事がわかると思いますし、シンプルで親しみやすいというお声も頂戴しております。
当法人は、人権を守る、子供を守る、平和を守る、といったこの界隈では華形の団体とは違い、本当に地味で華もなく、知られる事も少ないような活動を行っております。しかし、高齢化社会・福祉社会と呼ばれるこの時代において、縁の下のその下で、このような車いすを利用する市民の皆様の安全と安心を守る仕事として誇りをもって作業に従事していく所存であり、設立のご挨拶とさせて頂きます。また、関係者の皆様に改めて御礼申し上げるとともに、これからも当法人を応援して頂けますよう、お願い申し上げます。
特定非営利活動法人くるまいす
理事長 富 澤 弘 治